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『ニルスのふしぎな旅 ①新たな空への旅立ち』
セルマ・ラーゲルレーフ 原作, 吉田 順 翻案, 2021年3月30日
どんな本?
普段から動物たちをいじめていた罰として小さな妖精サイズに姿を変えられてしまった、いたずら好きの少年「ニルス」。
飛べない鳥ガチョウのはずなのに、遠く離れたラプランドを渡り鳥達とともに目指したい「モルテン」。
一歩先から皆を見守り、暖かく力強く、そしてときには厳しく、ニルスたちを包容する「アッカ隊長」……。
たくさんの魅力的な人物(動物?)たちと一緒に成長できる、冒険の物語。
感想と思考
実は最近『ソフィーの世界』や『小さなトロールと大きな洪水(※「ムーミン」のシリーズ)』など、原作がスウェーデン語で書かれている本をいくつか読んでいた(たまたま)。⬇️(あっそういえば、この2冊もまだブログに書いていないぞ~……。)
そのときに『ニルスのふしぎな旅』のことも思い出し、「かなり有名な本のはずなのに、何気にまだ読んだことがなかったかも」と気が付いた。それでこのさい、1巻から順に読んで見ることにしたのだ。
読んでいてまず最初に感じたのは、「冒険の描写がなんとも生き生きしていて、迫力がある!」ということだ。
私が大好きな本のうちの1冊『老人と海』もそうだったりするのだが、描写が鮮やかなお話は、読んでいてもそれだけでわくわくした気持ちが大きくなる。登場人物たちが息をのんだり喜んだり、怖がったり、スリルを味わっていたり……。そのひとつひとつの感情と情景が文字にのってこちらに伝わり、自分もその冒険に加わることができる。この楽しみ方はやはり、冒険やファンタジーの物語の醍醐味だなあと思う。
次に考えたのは、「入り口だけで物事の向き不向き、それから好みなんかを判断するのはやめた方がいいのかも」ということだ。
というのも私は、この本を読み始めてすぐは正直「読むのをやめようかな……」と思ってしまっていたのだ。実はこの話、始まってしばらくはひたすらに「ニルスが動物へいたずらする」シーンが続く。そして先の段落で書いた通りこの本は「情景描写が鮮やか」なのだが、もちろんこのシーンも例外ではない。つまり、ニルスが動物たちをいじめて意地悪く楽しんでいる光景までもが、こちらによく伝わってくるのである。「ちょっと読むのが辛いかも。一旦やめようかなあ……」と思ってしまったのも、そういうわけだ。
けれど今なら、「あのとき読むのを中断しなくて良かった!」と思える。もしあそこで読むのをやめてしまっていたら、その先にあったニルスたちのいきいきした冒険を楽しむこともできなかったし、ニルスの心が変化していくようすも見ることができなかった。「最初に目に留まった部分だけで判断していたら……」と考えると、なんだかものすごくもったいない気持ちになる。
また今回は「本」によってこのことに気づいたけれど、これはお話に関するものごとのみに当てはまる訳でもないと思う。普段の生活の中にも、実は「最初の数口で諦めたが故の、たどり着けなかったもったいないことたち」なんてごろごろ転がっているのでは?と思う。
「食わず嫌い」ならぬ「ひと口嫌い」を卒業するためにも、まずはある程度のところまで「やってみる」ということ。これからの生活で、心がけてみよう。
そして最後に。今回この本を読んで私は、「小さい頃に読んだ本たち――とくに『児童文学』を、今一度読み返してみたい!!」と強く感じた。
幼い自分が、ただ素直に「楽しい!」「わくわくする!」と思いながら読んでいたお話たち。けれどもしかしたら、今の自分が読むとまた違った意味を感じ取ることができるのかもしれない……ということを、この『ニルスのふしぎな旅』を読んで漠然と思ったのだ。ちょうどこの前『天気の子』を読んだときに、同じシーンに対して以前の自分とは違った意味を見出したように。
『メアリー・ポピンズ』に『ナルニア国物語』、『ザ・ランド・オブ・ストーリーズ』、『ハイジ』、『赤毛のアン』……。あっそれから『リトル・ジーニー』や『レインボー・マジック』のシリーズなんかも大好きだったなぁ。
最近は上のような本を読むことは以前に比べて減っているけれど、こういったものもまた少しずつ再読したいなと思った次第である。
それでは今回は、ここまで。
次はどんな世界に出会えるのかな。どんな成長を、見届けられるのかな。
第2巻からも引き続き、読んでいこうと思う(^^)/
*PS:
この本の訳をされた方が「訳者」ではなく「翻案者」だということを、すっかり忘れていた(今、思い出した)。
ということはもしかしたら、原作とはすこし変えられている部分があったりもするのかな……?途中でマンガの挟み込みもあったし。
ぜひとも原作……は無理でも(スウェーデン語だから。でもいつかは読んで見たいなあ!)、せめて英語版はまたどこかの機会で手に取ることができたらいいな、と思った。