*Please note that this page may contain some affiliate links.
※当ブログでは、アフィリエイト広告(リンク)を利用しています。
『いまさら恐竜入門』
監修:田中 康平, 執筆:丸山 貴史, マンガ:マツダ ユカ, 西東社, 2020年12月10日
『太陽の地図帖_035 楽しい日本の恐竜案内』
監修:石垣 忍, 執筆:林 照次, 平凡社, 2018年4月23日
2冊とも図書館で借りた本。「医学」の棚を物色していたときに、ふと180度体の方向を変えると目に入った「自然科学」の棚(ちょうど向かい側にあった)。さらに、そこにあった本たちの中でも『いまさら恐竜入門』の背表紙がとびぬけて目に入った。
そこで借りてみると……。面白い!とってもわくわくする!!
ということで2冊目の『楽しい日本の恐竜案内』も借りて読んでみた、というわけだ。
どんな本?
『いまさら恐竜入門』
「恐竜の面白さを知らないまま、うっかり大人になってしまったアナタ」へ向けて書かれたという、恐竜たちについてのかわいくそれでいてとても分かりやすい本。実は私は今まで、恐竜に対してものすごく興味を持っていたわけではなかった。けれどこの本はそんな私でも、とても楽しく読むことができた……!右ページの4コマ漫画も、いい味を出してくれている。
私のような初心者でも理解しやすいのに、内容はけっこう濃いしたっぷり。「恐竜に対して興味を持った人が、まず最初に手に取るのにぴったりの1冊だな!!」と思った。
『太陽の地図帖_035 楽しい日本の恐竜案内』
日本で化石が発掘されたさまざまな恐竜たちについて、豊富なイラストや写真とともに解説されている本。図鑑とガイドブックのいいとこどりのようなかんじで、わくわくしながら一気に読むことができた。厚さもそれほどないため(ちょっとした雑誌くらい)、持ち歩きにもよさそう!なんて思ったりもした。
また1冊目の『いまさら恐竜入門』で得た情報がさっそくこちらの本でも触れられていたりしたので、2冊分の知識がつながっていくのもすごく楽しかった。
気になった箇所
『いまさら恐竜入門』
飛膜で空を飛んだかもしれないイー
イーは獣脚類のマ二ラプトル類に分類される恐竜です。まるでショッカー戦闘員の掛け声のような名前ですが、これは中国語に由来するもの。「イー(翼)・チ―(奇)」というのが学名で、「奇妙な翼」という意味があります。ちなみに、これは世界で最も短い学名です(Yi Qiで4文字)。
さて、イーが奇妙なのは名前だけではありません。その名のとおり、奇妙な翼を持っていました。イーは前肢の3本の指と、手首の骨が変化した「第4の指」が長くのびています。この指の間から脇腹にかけて伸縮性のある皮膚の膜が張られ、翼としていたようなのです。
マ二ラプトル類というのは現生の鳥を含むグループで、すべての種が羽毛を持っていたと考えられています。イーにも羽毛があったことは確認されていますが、かれらはなぜかオーソドックスな羽毛の翼ではなく、ユニーク度の高い飛膜の翼を進化させました。
ただし、地球の歴史上、空を飛ぶことを志向した脊椎動物のほとんどは、飛膜を発達させています。たとえば、ヒヨケザルやムササビ、トカゲなどは、発達した飛膜を広げて滑走していますし、プテラノドンなどの翼竜やコウモリは、指の間に張られた飛膜で飛翔します。
イーの化石が見つかったのは、シソチョウよりも1000万年古いジュラ紀後期の地層です。この時代は、誰が初めて飛翔できるか競い合っていた時代であり、イーはその候補だったのでしょう。そのなかで、飛膜を使って飛翔を試みたイーは、結果として子孫を残せませんでしたが、恐竜から鳥への過渡期に、進化の実験がくり広げられた証拠を我々に示しているのです。つぶやき
イーは大きな飛膜を持っていたけど、羽ばたくための筋肉がつく竜骨突起は発達していない。だから、滑空と飛翔の中間くらいの能力だったのかな。
『いまさら恐竜入門』P79
『太陽の地図帖_035 楽しい日本の恐竜案内』
旧友と出かけた故郷の思い出の川で
今をさかのぼること12年前の2006年8月7日。退職を機に、故郷の丹波市に戻っていた村上さんは、旧友で、地学愛好家の足立冽さんに誘われ、化石探しに出かけた。目的地は、子供の頃によく遊んだ川代渓谷。渓谷を流れる笹山川の川岸には、まさに恐竜が生きていた白亜紀前期の地層「篠山層群」(約1億1000万年前)が幾層にもむき出しになって横たわっている。篠山層群からはそれまで小型の貝殻や植物の化石が発見されていたが、二人が赴いた場所からは生物の巣穴などの生痕化石しか発見されておらず、化石愛好家からは注目されていなかった。しかし、二人の目的はこの生痕化石の観察であったという。
『太陽の地図帖_035 楽しい日本の恐竜案内』P73~74
「恐竜の時代にともに生きていた小動物の生命の痕跡を探そうと、赤茶けた地層に目を凝らしていたところ、楕円形がくっきり浮き上がって見えたのです。」何かの化石だろうか。足立さんを呼び、ハンマーとタガネで周囲の岩石を取り除いていったところ、15センチほどの灰褐色の棒状の石を2個掘り出すことができた。足立さんが断面の形状から恐竜の化石である可能性が高いと判断、兵庫県立人と自然の博物館に持ち込み、研究者に鑑定してもらった結果、恐竜の肋骨と椎骨の化石と判明した。
その後、試掘を経て6年かけて大規模な発掘調査が行われ、頭骨の一部「脳函」や歯、頭部と胴体をつなぐ第一頸椎「環椎」、尻尾の下にある「血道弓」など、多数の部位が発見され、全長十数メートルもの巨大な竜脚類であることがわかった。恐竜の骨格が関節した状態で発見されることは日本では非常に珍しく、さらに、詳しい調査により新属新種と判明し、2014年8月、「タンバティタニス・アミキティアエ」と学名がつけられた。タンバティタニスは丹波の女の巨人を、アミキティアエは友情を意味するラテン語で、発見者二人の友情を記念している。
感想と思考
『いまさら恐竜入門』
どのページにかいてあることもとても興味深かったし、4コマ漫画もどれも本当にかわいかった!のだけれど、なかでも特に私が気に入ったのは「イー・チ―」という恐竜についての話だった(この投稿に4コマ漫画を載せられないのは残念だけれど……)。名前も翼も奇妙な「イー・チ―」について、もっとよく知りたいなという気持ちになった。
それから、この本全体を通して「生き物の進化の過程」にもまた興味が湧いた。なぜならこの本を読むまでの私は「恐竜」ははるか昔の生き物で今を生きる私たちとはなんだか遠い場所にいる、といったイメージを持っていたけれど、読んだ今は「実は現在にも、恐竜の影はいたるところにあるのでは?」という思いが強くなったからだ(し、実際に「鳥」は今でも恐竜の子孫なのだそうだ)。例えば先ほど挙げた「イー・チー」だって、コウモリやトカゲなどに似ている部分がある。「今」と「恐竜たちの時代」を比べて、共通点を探したりするのも面白そうだな……。
『太陽の地図帖_035 楽しい日本の恐竜案内』
この本の中で特に印象に残ったのは、上で引用した「『タンバティタニス・アミキティアエ』の名前の由来」についてのエピソードだ。化石を発見した2人の物語が、学名としてこれからもずっと語り継がれていく……。「なんてすてきなんだろう。まるでどこかの冒険の物語みたい!」と、思ってしまった。
それから恐竜たちの名前には主に「ドイツ語」と「ラテン語」が関係していることも、この本を読んで知ることができた。
*『午後の恐竜』ではブロントザウルスと表記されている。かつては「ザウルス表記」が多かったが、これは科学界に多かったドイツ語読みの名残。近年は、学名に使われているラテン語読みに近いローマ字読みが主流となっている。
『太陽の地図帖_035 楽しい日本の恐竜案内』P10
この本で紹介されている恐竜たちの横には全て、「学名の意味」としてその和訳が表記されていた。
(例えば、P54~55で紹介されている「アルバロフォサウルス・ヤマグチオロウム(Albalophosaurus yamaguchiorum)」の場合:「山口たちの、白山の竜 ※地元で長く化石調査に貢献してきた石川県立白山ろく民俗資料館館長の山口一男氏、調査補助員の山口ミキ子さんにちなむ。」)
けれどもし、自分が既にドイツ語やラテン語を理解できるのだったら?日本で発掘された恐竜たちはもちろん、世界中の恐竜たちのことについてもその「学名」を読んだだけで、ロマンを感じられる(かもしれない)のだ……!!!
それで私は、「どこかの機会で必ず、ドイツ語とラテン語を学習しよう(あとは、もしかしたら中国語も。笑 『イー・チ―』の名前の由来だから……)。」と強く思った。
2冊とも、今まで恐竜についてあまり深く触れてこなかった私にとって大好きな本となった。これからももっともっと「恐竜」について、たくさんのことを知りたいなあと思う。
あとは、地学も勉強したくなってきた(「恐竜について知るときに、助けてくれるかな?」と思ったから)。とりあえずなにか1冊読みやすそうな本を見つけて、読んでみよう~っと。🦕
2023/10/31 追記:
「地学(の基礎)」についての本、さっそく1冊読んでみたよ~。↓