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『教えて南部先生! 18歳までに知っておきたい 選挙・国民投票 Q&A』
南部義典 (著), C&R研究所, 2023年2月24日
今年18歳になった私にとって、今度の選挙(衆院選)は初めての選挙!……ということで、「なにか分かりやすそうな本はないかな?」と思いこの本を図書館で借りてきた。
中学生のころに「公民」の授業でなんとな~く学習した知識がだんだん思い出されてきて、「そういえばそんなことも習ったなあ」「そういやこんな仕組みだったなあ」などと、一人でふんふんと振り返りながら読んだ。
気になった箇所の引用
代議制民主主義の下で、女性の議員、首長の数が少ない(割合が低い)と、女性の立場から発せられる政治的意見が政策(法律、予算)に反映されにくくなり、少数派のまま据え置かれて(取り残されて)しまいます。もっとも、近年は、女性議員(候補者)が以前よりは増えてきたこともあり、特に「貧困」との関連でシングルマザーと子育て支援、生理の問題などが広く語られるようになりました。メディアの後押しもあり、女性議員の数が僅かに増えるだけでも、政策論議のテーマが変わり得ることが徐々に実感され始めています。
P79
社会に埋もれたまま、男性目線でが中心では焦点が当たりづらいテーマを、タブーなく、地道に解決していくために、今後も女性の政治参加をさらに推進していく必要があります。
近年は、選挙に際しても無料の「マッチングアプリ」などが登場し、政策的な選好など必要な項目を入力しさえすれば、投票先に相応しい候補者、政党を教えてくれるアイテムもあります。判断に迷ったときに、このようなアプリが活用できれば便利には違いありません。
P238
しかし、有権者としての判断、選択にAIが介在することは、その分、権利、自由の価値を蔑ろにし、犠牲にする側面があります。極論すれば、AIが政策を決定するのであれば、議会も選挙も要らない、ひいては憲法も無用だ、という話になってしまいます。また、AI自体が、特定の個人のプライバシーを侵害したり、集団に対する差別を助長するような判断を行っている場合には、当然、排除すべきことは言うまでもありません。
民主主義(多数派による決定)には、絶えず間違いが付きまといます。人は誤りがちな存在であるという前提で、AIに対する抑制的な態度を持ちつつ、選挙、国民投票などに向き合っていく必要があります。
18~20歳は確かに、全世代平均より棄権率が高いものの、候補者、政党の意識改革こそ遅れている問題もあります。何といっても、政治対話、メッセージの発信(内容、方法)が年配者層向けに片寄っており、日常的に若年層と上手くコミュニケーションを取っていない現実があります。選挙運動の際に配布されるビラ、選挙広報、街頭演説の内容も、中高年層に関心のある家計支援、年金医療の問題に自然とウェイトが置かれます。若者政策といっても、20~30代がターゲットとなる子育て支援(手当、保育政策など)の話はあるものの、10代が渦中にあるヤングケアラー、学費・授業料などの問題は重点化されにくい傾向にあります。
P245~246
感想と思考
実は私、(恥ずかしながら)いままで「どうして女性議員を増やさなければならないのか?」ということについて、明確な自分なりの答え(意見)を持ててはいなかった。むしろ、「あえて少数派の人たちを優先的に数に入れる(いわゆる「クオータ制」)配慮は、それ以外の人たちにとっては逆差別ではないの?」とさえ思っていた。けれど今回この本(文章)を読んで、自分の考え方を少し発展させることができたような気がした。
私たちがくらす「社会」には、本当にいろいろな立場の人がいる。いわゆる「多数派」・マジョリティの人たちだってもちろんいるし、一方で「少数派」・マイノリティの人たちだって確かに存在している。そんな多様な「社会」の先頭に立って(ある意味)ばらばらな集団をある程度まとめあげ、牽引していく人たち――そのうちの一つが、「議員」さんなのだと私は思う。
そこで、だ。もしもそのリーダー、もとい「議員」さんたちが皆、同じような属性に位置する「多数派(マジョリティ)」の方々ばかりになってしまったら?私はきっと、「社会」というものに失望しながら毎日を送るしかなくなってしまうだろうなと思う。なぜなら「多数派」からの視点だけでつくりあげられた社会というのはすなわち、「少数派」の人たちに対するさまざまな障壁を生み出しながらもそれを放置したまま(見ないふりをして)無理やりまわしていくような、そんなものであるだろうと私は考えるからだ。
社会にくらす、すべての人たちが「リーダー(議員)」になることはもちろんない。けれど、リーダーたち主導で形作られていくその「社会」に住むのは言わずもがな、多数派も少数派も関係のない「全ての人たち」だ。だからこそそれらの人々がもつ視点の種類を、すこしでも多く反映させるためにも「多様な立場のリーダー(議員)」が必要なのではないか、と。今の私は、こんなふうに考えている。
「クオータ制」の導入の是非については、今回の衆院選の議論のテーマのうちの一つにもなっていた(※参考:衆議院選挙2024 候補者アンケート 衆院選立候補者へ質問と回答 NHK )。賛成・反対どちらの立場の意見もまずは一度「なるほどね、そんな考え方もあるのか」と受け入れつつ、自分自身もこれについての本を読んだりニュースを探してみたりするなどして、自分なりの意見を述べられるようにこれからしたいな……と思っている。
[A] クオータ制(Quota System)とは、特定の組織、機関において、社会の少数派の中から一定の比率で人数を割り当てる制度のことです。日本では2018年、政治分野での女性の参画を推進するため、「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」(候補者男女均等法)が制定され、運用が始まっています。もっとも、法律の基本的枠組みとして、政党による自主的な取り組みに任されている(努力義務が課されるにとどまる)などの問題があり、根本的な解決には至っていません。
P78
とりあえず、次は。下↓の『ゆるぎなき自由』を読んでみようかな!(自分の住んでいる市の、市立図書館のOPECで「クオータ制」とキーワード検索して出てきた本のうちのひとつ)。ちょっと難しそうな気もするけれど、読むのが楽しみだ~~。(^^)/