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おかあさんはね by
文: エイミー・クラウス・ローゼンタール
絵: トム・リヒテンヘルド
訳: 高橋 久美子
マイクロマガジン社 2017年5月31日
絵本。母が書店で、一目惚れをして買ってきたらしい。机の上に放置されていたのを、何気なく手に取り読んだ。
どんな本?
子供のことを想う気持ちを、育てるひとの目線から伝えてくれる本。読むと感謝の思いが溢れると同時に、とても暖かな気持ちになれた。
心に響いた箇所の引用
全てのページの中でも、特に好きだなと感じたのは……この部分。
どしゃぶりの あめでも かさが ありますように
P23
感想と思考
「どうして、よりによってこのページを引用することに決めたの?」と、今これを読んでいる未来の私は思うかもしれない。確かにそうだ、他のページにはもっと深い意味を持っている(と感じられる)文章だってたくさんあるのだから。私が今回選んだのは、とてもシンプルなものだ。
では、なぜ私はこの箇所を選んだのか?……その理由は、「原書との対比」にある。
この絵本は、翻訳されたものだ。現物は英語で書かれている。それで私は「オリジナルのものは一体どういった体裁なんだろう……」と気になったので、ひとまずAmazonの商品ページを覗いてみることにした。そしてそこで私は、紹介画像の中にこの「雨のページ」の写真を発見した。原文は、こうだった。
I wish you more umbrella than rain.
この文章を読んだとき私は、「翻訳された日本語の文からとは、受ける印象が違うな」と思った。日本語版だと「『雨』が降った(=悲しみや苦しみ、辛さなどを感じた)としても、『傘』(=逃げたり休憩したりする場所、支えとなるもの、すくい上げてくれるもの、幸せ、など)がありますように」というふうに(私には)感じられる。一方で原文……英語版の方を読むと、私にはこれは「きっとあなたにはこれから、たくさんの『雨』(=悲しみや苦しみ、辛さなど)が降りかかるはず。でも、私は願う。そのたくさんの『雨』よりも、もっともっと多くの『傘』(=逃げたり休憩したりする場所、支えとなるもの、すくい上げてくれるもの、幸せ、など)がありますように」と伝えているのだととることができた。
日本語版の文章には、「もっと」という要素がない。つまり、その「1回」に注目している。ところが英語版の文章では、「雨」なんてこれからたくさん降りかかる前提だ。そのうえで、「それ以上の『傘』がありますように」という文章になっている。
私はこのことに気がついたとき、とても「面白いな」と思った。この違いは、何が原因で生じたのだろう。翻訳する過程で、訳者の解釈が影響したのか?それとも言語的な特徴のおかげなのか?はたまた、何かもっと別の要因があるのだろうか……?
「子供の幸せを願う」という気持ちは、どの言葉を話すひとでもきっと同じ。けれどそれを願う方法や、思考の角度などは、少しずつ異なってくる。そんなことに、私はこの絵本を通して気づくことができた。
また今後……もし機会があれば、実際に原書の絵本(英語版のもの)も手に取って、全ての文章を原文で読んでみたい。そして日本語版と比べたりして、今よりもさらに多くのメッセージを解き明かしてみたい。
それから。
今まで私のことを支えてくれたり、見守ってくれたり、幸せを願ってきてくれたりしたたくさんのひとたちへ。私を育ててくれた、全てのひとたちへ。
ありがとう。そして、これからもよろしくね。